今回のSpicyはインタビュー!
編集部が女装をテーマに、様々な方へインタビューしていく企画がスタートします♪
 

第一回目、やってまいりましたのは立正大学!

文学部社会学科教授である、鈴木健之(たけし)先生にお話を聞いてきました。

鈴木先生は、なんと講義のときに女装して登壇されるんだとか!
それは何故なのか。自身の女装への関わりや、過去から現代のへ女装文化の変遷。その未来についても語って頂きました。

 
 
 
 

鈴木健之(すずき・たけし)
立正大学文学部社会学科教授
 

 
1995年法政大学大学院社会科学研究科社会学専攻博士後期課程修了(博士・社会学)
専門は社会学。とくにアメリカ社会学理論研究であるが、1992年のアメリカ留学をきっかけに、家族とパートナーシップの日米比較研究が主たる研究フィールドとなる。

自他ともに認める「イクメン」(育児するメンズ=男性)であり、前職の盛岡大学においては、男性育児休業取得者第一号となった。

代表的な著作としては、
『G.I.D.実際私はどっちなの!? -性同一性障害とセクシュアルマイノリティを社会学!!- 』(吉井奈々との共著)
がある。

現在は家族とパートナーシップに関する日米比較研究を継続中。
座右の銘は「終わりを初めに慎む」

 
 
 
 

1. なぜ男性の女装はNGなのか

 

編集部
:
本日はお時間ありがとうございます!
よろしくお願い致します!
先生
:
はーい。よろしくお願いします。

編集部
:
先生は女装について学術的に研究していらっしゃるのですよね?
先生
:
メインではないのですが、研究しています。
子供の頃から女装が好きで楽しんでいました。
当時、桂三枝さんのテレビで男性を女装させる”さかさまショー”というものがあったんです。
それにも影響されましたし、母のワンピースを着たのが大きなキッカケでもありましたね。

 

編集部
:
やっぱり40年以上昔に女装するのは大変ではありませんでしたか?
先生
:
そうですねえ…最初自分はオカマじゃないのかなぁって、思った時期もあったね。
でも男性を性的に見てたというわけでもなく、当時は私も分からなかったです。
 
変態?変質? それを形容する言葉が全く思い浮かばなかったんですよ。
女の子になりたいわけではないし、葛藤がありました。
 
でも女装って、すごく楽しかったんですよね。
小学校の時は全く無知のまま楽しくやっていたけど、中学生では周りの目もあって抑圧していました。
でも高校の時、文化祭で解放できたのが嬉しかったなぁ。
 
大学では学術的な用語も勉強して、段階を踏まえて女装を楽しんでいましたね。

 

編集部
:
やっぱり周りにバレたら大変でした?
先生
:
やっぱり石を投げられるような時代でしたね(苦笑)
周りから見たら変態なんでしょうね…

 

編集部
:
いやぁ、現代では想像ができないです。
…ところで先生は女装して講義をされているのは何故でしょうか?
先生
:
はっきり言うとね、私が女装したいから”社会学的実験”と称して、女装しているというのが本当のところです(笑)
 
でも「社会的に女性が男装してもOKなのに、男性がスカートをはいたりするとNGなのはどうしてなのか」という問いが自分の中にずっとあって、ここが私の社会学的探求の出発点でもあるんです。

photo by moco woods
編集部
:
確かに異性装の中では、男装と女装に対する見方は違いますね。学術的に掘り下げていったら面白そうですね。
実際に、親の世代と自分たちの世代では女装に対する反応が違います。

やはり世代的なバックグラウンドが違うのでしょうか。
親世代は「男は男らしく、女は女らしく」といったような性に対するイメージが強い気がします。

 
 
 
 

2. クローズで色物扱いの昭和、オープンでクールになった現代

 

編集部
:
先生、昭和と平成で女装男子も変わってきましたか??
先生
:
いやぁー、もう革命的な変化を遂げましたよ!!
 
昭和の女装は変身サロンとかのようにクローズな場所で、そこに行かないとできないものでした。
女装はこの時後ろめたいものでもあって、タブーな部分の方が多かったんですよね…

編集部
:
周りの人に女装してるなんて言えない環境だったと。
先生
:
もうとんでもない!!
周りに知られたらもう大変で…だから閉ざされたクローズな場所でやって、欲求を解放するっていうのが主流でしたね。

 

編集部
:
なるほど…現代の女装男子って非常に恵まれてますね。
先生
:
現代の子達は羨ましいですよ(笑)!!
私も生まれる時代がもう少し遅ければもっと自由に長く楽しめたのに。
 
時代の流れを見ていると、2000年代から女装はオープンになってきましたね。
編集部
:
ということは20世紀・21世紀でカテゴライズした方がいいでしょうか?
先生
:
そうですね!それがぴったりです!
平成(21世紀)の女装の方がオープンで、通販で女装グッズが手に入り、インターネットで情報が得られますよね。
仲間も探しやすいですね。
編集部
:
クローズとオープン。なるほど!

 

先生
:
それと20世紀はイロモノ扱いや、男性にアピールする女装が多かったですね。
 
21世紀にはビジュアル系などの台頭で、純粋にファッション性や可愛さ・美しさを追求する子達。
女性からもカッコよく見られたい子達が増えました。
編集部
:
確かに180度に近いくらい劇的に変わりましたよね!
体感では、後者が主流になりつつあるように感じます。

 
 
 
 

3. 日本の新しい女装カルチャーの火付け役は、インターネットとメディア

 

編集部
:
先生、女装男子が世の中に出てくるきっかけはやっぱり2000年以降なのでしょうか?
先生
:
そうですね。
90年代にはニューハーフだったり、Mrレディーって呼ばれる方々がいて、職業も主にショービジネスに従事していました。
カジュアルな感じな男の娘or女装男子は2010年前後くらいからですね。

 

編集部
:
きっかけとかはあるんでしょうか?
先生
:
インターネットの普及とSNSが出てきたことが大きいですね。
そこからイベントも派生して、みんなが集まれるところが増えていったのが流れを後押ししていると思います。

先生
:
そしてメディアが大きいですよね。
 
テレビの女装特集や、バラエティ番組”学校へ行こうMAX”の中の女装パラダイスとなど。
インターネットとSNSで形作られた流れをメディアが取り上げることで、より概念が広まったと思います。
編集部
:
情報の窓口が広がって、色々と受け入れてくれる場所も増えた気がしますよね。

 

先生
:
チョイスがたくさん増えてきて羨ましい限りです!!
 
女装って検索すればたくさん出てきたり、情報を集めやすい世の中になりました。
同じ仲間を見つけるのが容易になってきましたね。
編集部
:
やっぱりインターネットの影響は大きいですね。
 
僕も、最初はネットを参考に始めました。
最近ではアウトプットもインターネット上のみで行う子も増えてきていますね。
実際会うと全く顔が違うとか(笑)
先生
:
確かに。(笑)
ただそのおかげで奥手な若い子も始めやすくなりましたよね。
女装に対するハードルが下がる。今後もこの傾向は続くのではないでしょうか。

 
 
 
 

4. 日本は世界的に見ても異性装に非常に寛容な国

 

編集部
:
先生は海外にお住みになられていたと伺っています。
そのとき海外の女装などは見られましたか?
先生
:
私はアメリカにいたのですが、海外は日本よりクローズな感じでした。

 

編集部
:
え!?
レインボーパレードなどがよく開催されてして、寛容なイメージでしたが…びっくりです。
先生
:
宗教的な理由も多くあって、日本よりもっと女性男性の役割がしっかりしていますよね。
 
やはり差別的なことも多いと思います。人種問題も多いですし…レインボーパレードはその反動ともいえます。
ゲイリブが盛んな一方、女装に関しては寛容ではないですね。

編集部
:
なるほど。日本のほうが女装に寛容なんですね。
先生
:
おそらく日本ほど女装に寛容な国ないでしょう。
 
歌舞伎の女形など歴史的にも女装は古くから根付いてますし、寛容になる下地は元々あるわけです。
海外の女装趣味の方も日本に強い憧れがあると思いますよ。
 
ある意味、現代の日本において女装が復権したのは、日本人の精神の根底から湧き上がる文化の源泉なのではないでしょうか。

 

編集部
:
女装大国日本(笑)
日本にいたら実感できないですが、俯瞰で見ることで本質が理解できるということなのですね。
 
僕自身も留学していましたし、編集部には女装に寛容だと言われているタイに留学していた人間もいますが、
やはりどの国も女装する=オカマで、心の性別として明確に線引きをしたがる人が多い印象でした。

 
 
 
 

5. 女装が”普通”になる未来

 

編集部
:
時代が令和に突入しました。
これからの女装って、どう変わってくるとお考えですか?
先生
:
もっと”普通”になってくると思いますね。

 

編集部
:
“普通”ですか!!
先生
:
そうです。寛容になってきたとは言っても、今はまだ女装は特別なこと。
テレビでも男性アイドルや芸人が女装するのは特別なことですよね。
だから企画として成り立つわけです。
 
しかしいずれは、それも”普通”になり、多様性を受け入れる世の中に全体的になると思います。
事実、昭和から平成後期にかけて”イロモノ”から”美しい”に変化したように、後ろめたい趣味から、楽しくて公開できる”普通”の趣味になってくるのではないでしょうか。

 

編集部
:
始めたい子が抵抗なく始められる環境ですね。確かに周りが肯定してくれるとありがたいです。
先生
:
その通りです!
例えば公立中学校では、男女問わずスラックスとスカートを選択可能にする学校が出てきています。
 
もっと先の未来を言うと、男子がフェミニンさの表現としてスカートを履くこともファッションとして”普通”になり、メンズ・ウィメンズの境界も無くなってくるのではないでしょうか。
まだ時間はかかるでしょうが、今は確実にそうした流れを感じますね。
 
最近の話なんですが、授業で女装するのが好きって言ったらとある男子生徒に言われたんですよ。”羨ましい”って。

先生
:
…私は彼に、胸を張って女装が好きって言って欲しいと語りました。まったく変じゃないんだよって。
編集部
:
僕達も女装がカッコいいものだって信じて、Spicyを立ち上げたので、先生にそう言っていただけると嬉しいです!
先生
:
私も嬉しいですよ!
これからは男性のメイクも一般的になってくるでしょうし、女装する子にはプライドを持って胸張って欲しいですね。
その子達が令和時代…今後の女装を牽引していくと信じております。
編集部
:
僕たちも微力ではありますが、女装男子がもっと輝ける場所を作って行きたいと思います。
本日はありがとうございました!
先生
:
ありがとうございました。


「イロモノ」から「美しい」へ。
自由に着たい服が着られることが”普通”。
そんな時代に。

 
 
 
 

あとがき

 

2000年代後半から、それまで隠れキリシタンのようだった異性装愛好家達がインターネットの普及により、自分で情報を得たり発信したりできる時代が到来。
異性装をする人にとってはとても始めやすい、寛容な時代になりました。
先生もおっしゃっていたように、この流れは今後加速していき、異性装が普通になる時代が到来すると感じています。
 
今後はSpicyとしてこういった流れを後押しし、女装の新しい側面を切り開き、もっと胸を張って女装は楽しいからしてる!カッコいいからしてる!と発言できる世の中を作って行きたいものです。
それと同時に、異性装の世界の良き観察者として、鈴木先生を始めとした有識者とともにこの世界を観察し、その過去・現在・未来を含めて深く掘り下げ伝えていけるような存在であろうと思っています。
 
今回は鈴木先生との対談を終えて、編集部はすごく勇気づけられました。大学で普段教えている先生から、情熱に溢れた後押しをしていただきました。
 
もっと語りたいことが沢山ありそうだった鈴木先生。
編集部ももっと掘り下げて聞きたいことが沢山ありました。
今度は是非お酒でも飲みながらゆっくり(笑)
 
 
 
 
編集部が行くインタビュー企画。今後、様々な分野の方に話を聞いてみたいと思います。

今後もご期待ください!!

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